私ってすぐに昔のこと思い出しちゃって、意味もなく落ち込むことがあるんです。
なかなか忘れられない、嫌な思い出って誰にでもありますよね。
今更考えても意味がないことはよくわかっているんですけど、嫌でも頭に浮かんでしまって・・・
そうですね。過去を変えることは誰にもできません。でも過去の出来事の「捉え方」や「解釈」を変えることはできます。
昔あった嫌な出来事や恥ずかしい出来事など、不意に思い出しては夜眠れなくなったり、意味もなくイライラしたりしてしまうことありませんか?
それも遠い昔の出来事であるにも関わらず、とても鮮明に思い出してしまう。
忘れようと意識すればするほど、根強く記憶にとどまってしまう。
しかし前提として過去は変えることができません。
だからこそ、こびりついてしまったその記憶とどう上手く付き合っていくかが建設的な姿勢なのです。
脳は嫌な記憶ほど定着しやすい
人間の脳というのは、嫌な記憶ほど定着しやすいという特性を持っています。
これは記憶の種類にある「エピソード記憶」と呼ばれる記憶の種類に関係しています。
エピソード記憶とは、簡潔に言えば「印象深い記憶」と言い換えることができます。
楽しい旅行の思い出から、喧嘩した苦い思い出まで、印象深い記憶はどんなものも残りやすいのがエピソード記憶です。
さらに、このエピソード記憶はネガティブな感情が強い記憶ほど、鮮明に根強く脳に残ってしまうという特徴を持っています。
ネガティブな感情と癒着しやすいという特性が、エピソード記憶にはあります。
だからこそ、人類皆、人生で後悔しない人間は一人もいないということです。
忘れられないのは後悔が残っているから
「あの時、〇〇していれば」「あの時、〇〇していたら」
こんな風に昔の嫌なことを思い出しては「〜たら〜れば」と思い返すのは、自分の中で何かしら未消化なものが残っている証拠です。
何故なら後悔が残っているからです。
特に顔から火を吹くような恥ずかしい出来事や、相手に対する激しい怒り。
そのときの感情が強ければ強いほどに、それが未消化のまま終わったときのこびり付きが酷いのです。
嫌な記憶との付き合い方は、この後悔をいかに少なくすることができるかがポイントとなるのです。
効果的な対策3選
対策1:その場で行動する勇気を持とう
経験者の私もお勧めの対策、それはその場で勇気を出して行動を起こしてしまうことです。
なぜなら、「後悔」というのは自己肯定感を下げる何よりもの要素になってしまうからです。
例えば、相手に侮辱されるようなことを言われたとして、そのまま我慢してやり過ごせば、必ず後悔が残り記憶にこびりつきます。
「あの時こう言い返していれば・・・」
「あの時〇〇してたら・・・」
そんな「たら・れば」な思いは、その時行動できなかった自分をずっと責め続ける原因になってしまうのです。
そんな後悔を残さないためには、勇気を持ってその場で何かしら行動を起こすことです。
その行いが後で「吉」と出るか「凶」と出るかはさほど重要な問題ではありません。
この場合で最も重要なのは「自分は勇気を持って行動することができた」という事実です。
何もできなかったのか、一つでも何かできたのか。
この差はその後の後悔の度合いに大きく影響してきます。
今も後悔している皆さんは、記憶の中の相手に対して怒っているのではなく、何もできなかった自分自身に怒っているのです。
対策2:一人反省会をする
過ぎたことは全部忘れて前向きになろうよ!
と、ラジオ体操のお兄さんのようなテンションで、キラキラした励ましの言葉を送る人が結構います。
しかし私は必ずしもそうとは限らないと断言できます。
なぜなら、嫌な思い出も、その時行動できなかった自分も、全てはある種の失敗という経験だからです。
そして、人は失敗して初めてノウハウになる生き物です。
なぜ辛いのか?何がいけなかったのか?どうするべきだったのか?
何事も経験しなければ次回への対策など取れるはずがないのです。
だからこそ、今回遭遇してしまった嫌な出来事も、次回に同様の出来事が起こってしまった時の対策材料にしなければなりません。
そのためには、しっかりと問題に向き合う工程から逃げてはいけないのです。
自分は何が悲しかったのか?何が不快だったのか?あの時どうしたかったのか?
そういう自分の大切にしている価値観と向き合うことで、許容できることと、許してはいけない内容がはっきりと見えてきます。
私の場合は、過去酒癖の悪い職場の上司に、酔った勢いで頭を拳で力いっぱい殴られたことがありました。
正直本気で痛かったですし、酒を理由に許されるレベルを越えた暴力行動です。
あそこまでの暴力行為をする上司は稀かもしれませんが、酒癖の悪い人間は多くいます。
なので、私は次に同じことをされた場合は躊躇なく弁護士に相談すると決めています。
依頼、あまりその当時の出来事に対して極度の怒りを感じることはなくなりました。
もちろん不愉快な気持ちはずっと残ります。
しかしあの時自分にできなかったことは、今の自分ならできる。そう思うことで自身の成長も感じることができます。
対策3:清算できる過去なら、今からでも清算する
根本的な回答ではありますが、原因を根本から取り除く作業になります。
そもそも、思い出したくない過去であるなら、その過去をしっかりと清算できることが理想です。
多くの場合が今更かもしれません。
例えば、過去喧嘩別れした友人がいるのであれば
「あの時謝っておけば・・・」と後悔しているのではないでしょうか?
ならば、今からでも相手の気持ちを確かめる、そんな踏み込んだ行動も、解決の一つです。
当時のことが完全になかったことにはなりません。
ですが、自分の中で何かしら、気持ちに区切りをつけるきっかけになるかもしれません。
お勧めの思考法3選
無理に忘れようとすると逆効果
嫌な記憶ほど脳に残るという話をしましたが、忘れようと意識するほど、記憶の定着はより強固になります。
無理に別のことをして気を紛らわせようとしても、逆効果になることもあります。
まず大切なのは、意識しないのではなく、意識を逸らすことです。つまり、自分の好きなことに夢中になることです。
苦し紛れの作業などではなく、思い切って自分がやりたいことをするのです。
なぜなら、嫌な思い出が浮かびやすいのは、単純に心が暇だからです。
肉体は時間に追われて忙しいのに、本当にやりたいことができていないので心の充足感がないのです。
だから少しでも暇ができると嫌な記憶が蘇りやすくなるのです。
人は本当に好きなことをしている時は時間はもちろん、食事やトイレへ行く時間さえ惜しく感じる時があります。
そう言った一種の「フロー状態」を作る機会を持ちましょう。
やりたいことが明確な人は、嫌な思い出に打ち拉がれる時間さえ、惜しく感じるものです。
相手を否定することに意味はない
ここでは考え方の練習です。
結論から言うと、「相手を否定することはあまり意味がない」という考え方です。
これは哲学者ニーチェの言葉にある「人も自然の一部」という考え方を応用したものです。
皆さんは、ある日道を歩いていた時、突然ゲリラ豪雨に襲われ、傘もない状態でズブ濡れになってしまった経験はありませんか?
しかし、それでも突然の理不尽なゲリラ豪雨に、激しい怒りを感じる人は少ないのではないでしょうか。
中にはデート前に化粧が崩れてしまった、大切な洋服が汚れてしまったなどで一時的に怒りを覚えることはあるかもしれませんが、その後夜も眠れないくらい定期的に思い出しては怒りを感じますか?
おそらく感じませんよね。それはなぜか?答えは簡単。
自然現象はどうあってもコントロールできないからです。
人間も同じです。ニーチェの思想では、人間と自然は相対するものではなく、人間も同じ大地から生まれ共存していることから、人も自然の一部であるという考え方をします。
つまり、人間関係で定期的に訪れる不快な出来事とは、自然界における災害のようなものと解釈することができます。
同じ自然でも山や海が別の存在であるように、人間もその独立した自然の一部ということです。
人間関係で多少の不快感があっても、雨に濡れた、気持ち悪い、程度の感覚にとどめるといいでしょう。
つまり、結局のところ他人は変えられない。
雨に備え、家を出る前に折り畳み傘を持つような、自分の行動を変えるしかないのです。
嫌な経験は人のために使おう
良い思い出も、悪い思い出も一言で括れば、それは「経験」です。
経験ほど強い味方はありません。
記憶から消し去りたい経験を、必要としてくれる人に使うのです。
私の場合は、辛い過去が多い方であろう人間ですが、過去の恥ずかしい体験も辛い体験も、こうして文字に起こすことで利用しています。
それは自分と同じような体験をして苦しんでいる人が大勢いるからであり、そんな人に届いて欲しいという思いからブログを書いているからです。
どんな経験も、体験しようと思わなければ一生出会うことがない貴重な資源です。
なぜなら痛みを理解できるのは、やはり同じ痛みを経験した者だけだからです。
少なくともあなたと同じように悩んでいる人は、きっと大勢いるはずです。
あなたの持つその記憶は、嫌なものも良いものも大切にしましょう。
何故なら、それはあなたしか経験していない貴重な体験だからです。
実体験の伴った、あなたの声は必ず誰かの元に届くのです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は過去の嫌な記憶を思い出してはストレスを溜めてしまう悩みについて、私自身の経験と脳科学の視点からまとめてみました。
思い出したくもない、嫌な思い出というのは誰にでもあります。
しかし、世の中にはそんな嫌な思い出とも上手に付き合っている人がいる、これもまた事実なのです。
今回の投稿が、過去の辛い記憶に苦しむ読者の方にとって、少しでも気持ちが楽になるヒントになれば嬉しく思います。