子供が言うことを聞かないと、夫がすぐ「叩くぞ」と怒鳴ったり、子供の前で物に当たったりします。子供は怖がってしまい・・・正直やめてほしいです。
なるほど、脅し文句は子供を説得するのに手っ取り早いですからね。でもはっきり言って、教育上良い影響とはいえませんね。
やはりそうですよね💦子供には何か影響が出るんでしょうか?
はい。恐怖心を与えながら育てた子供が、どのような大人になったのかを調査する長期研究が2020年に発表されています。
その研究によればその後の人格形成や、社会での適応力などに影響し、家庭ではDV加害者に発展するケースも少なくなかったんです。
「脅し言葉」がNGな理由3選
脅しの効果はその場限り
論文の調査結果によれば、子供に恐怖を与える説得の仕方は、子供を従順にさせる即時的効果が実証されています。
しかし、その効果は一時的で、多くの場合、その後の子供の行動に大きく影響が見られないといいます。
つまり、単発の効果のみで、本来親が期待する長期的な抑止効果がないと言うことです。
一度脅し言葉でコントロールした親は、その即効性からその後も度々「脅し言葉」を多用するようになるといいます。
こうして日常的に「脅し言葉」によって教育を受けてきた子供が、将来的に様々なリスクを背負うことになるのです。
アダルトチルドレンのリスクが高くなる
「大きな音を立てる」「交換条件を出す」「怒鳴る」などの子供に恐怖心を与える教育のリスクに、アダルトチルドレンの存在があります。
アダルトチルドレンとは、幼少期に親との正しい愛着形成がなされなかったことが原因で、対人トラブルや感情のコントロールが不十分になり、社会における「生きにくさ」を感じる人の総称です。
こちらの投稿も併せて読むと、愛着障害やアダルトチルドレンについて詳しく知ることができます。
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アダルトチルドレンの本当に怖い効果というのは、その子供もまた、アダルトチルドレンになりやすいと言う点にあります。つまり次世代に渡り連鎖しやすくなると言うことです。
ではなぜ、脅し言葉による教育がアダルトチルドレンにつながるのか?
それは子供が子供らしさを満喫できない、大人に気を遣う子供になってしまう点にあります。
当然、恐怖を感じたくない子供は、徐々に自分の行動一つ一つが、親にとって正解か否かを判断基準にするようになります。
親の機嫌を損ねないよう、子供が大人に気を遣って生きるようになるのです。
このような、子供は子供ながらに「大人」にならざるを得ない環境がアダルトチルドレンに直結します。
本来子供なら仕方ないとされるようなイタズラや失敗も、親が機嫌を損ねないように自分から抑制してしまい、「子供ならではの甘え」が許されないまま大人になってしまうのです。
このような恐怖支配の環境下で、親と子供に健全な愛着関係が築かれるはずがありません。
子供らしさが満喫できないまま育った子供は、自分が親になった後も、やはり自分の子供に対しても同様な方法でしつけをしてしまいます。
「自分が当時我慢したのに、なぜこの子はこんなにもわがままなのか」
そんな抑圧された嫉妬心が、再び健全な愛着関係を阻害してしまう。
これがアダルトチルドレンが次世代にも連鎖してしまうメカニズムです。
道徳観の弱いDV気質な大人になる
研究結果によれば、脅し言葉が日常的な環境で育てられた子供は、自分の子供に対しても、親の意思でコントロールしようとする傾向が強く見られたといいます。
また、理性や感情のコントロールを司る「前頭葉」の発達不全も併せて見られるケースがありました。
つまり、言うことを聞かないとすぐ感情的になる大人の完成です。
統制的な子育てになりやすく、やはり同じように自分の子供に対しても恐怖心を植え付ける教育をするようになります。
あるケースでは、自分の子供にとどまらず、周囲の人間関係でも同様な関わりによる弊害が生じていたといいます。
このリスクを理解していない第三者からは「しっかり躾をするいい親」に映るでしょう。
よって、それを静止しようとする大人も現れないわけです。
脅し言葉によって育てられた子供は道徳観も曖昧になるといいます。
自分の子供が学校でいじめをしていた、そのせいで相手の子供が不登校や自殺に追い込まれた。
このような場面では、親は自分の子供に対して、その責任の重さを理解させるために強い言葉や態度で迫るでしょう。
ですが、彼らはこういった状況によって善悪の判断が分かれるような場面でその歪みが見られます。
親である自分に恥をかかせた、自分の子供が期待した通りに育たなかった、などの感情的な理由を第一に、暴力へと発展してしまいます。
建設的な対応の前に、感情的で突発的な行動が優先してしまうのです。これも前頭葉の発達が未熟な特徴と言えます。
注意!多くの人が日常的に使っている脅し言葉一覧
「脅し言葉」は「俗信的しつけ」とも言われています。
例えば「なまはげ」「鬼」「妖怪(又はお化け)」の存在がいい例でしょう。
日本社会には、こうした子供に恐怖心を持たせることで、大人の期待や社会的規則に追従させようとする伝統文化多数存在しています。
それ以外にも日常的に誰もが耳にしたことのある言葉があるはずです。
これらの俗信的しつけ言葉には、行為と結果の間に合理的で直接的な因果関係がありません。
これ以外にも「〇〇しないと〇〇になる」という、不安や恐怖を条件につけることで相手をコントロールする内容は全体的に控える方が良いでしょう。
駅前で「言うこと聞かないとママ嫌いになるからね!」とゴネる子供に言い聞かせていた親を見かけたことがありますが、あれがまさしく俗信的しつけに当たるのだと思います。
まとめ
いかがでしたか?
今回は「脅し言葉」や「脅しの態度」にが子供の発達にどのような影響を及ぼすのか、先行研究を元に開設しました。
中には「そんな大袈裟な」と思われる方もいるでしょう。
事実、「寝ない子はお化けになる」程度の脅し言葉は、冗談まじりで私も使うことがあります。
ここで重要なのは、それが日常的に、且つ、本気の抑止目的で使用されてしまっていることにあります。
神経質になる必要もないかもしれませんが、言葉はリスクを十分に理解した上で、口に添えたいものですね。