私、人と関わるのが本当に苦手です。初対面の人はもちろんなんですが、一度険悪な関係になった相手とは二度と元の関係に戻れる気がしません。仕事にも影響するし、どうしたら良いんでしょうか・・・?
一旦不仲になると、修復するのは勇気が入りますよね。きっかけがあれば別ですが、なかなかそうもいきませんしね。
まぁ関わらなければそれでいいんですけど、仕事だとそうはいきません。転職するしかないのでしょうか・・・?
そんなことはありません。実はどんな人間嫌いでも、相手と打ち解ける魔法のような方法が存在します。私も中学時代を機に長くイジメを受けたことで、人とろくに目を合わせることすらできませんでしたが、このスキルのおかげで、今は当たり前のように克服できています。
どうしても人と関わるのが苦手な人がいます。
しかし、そんな「コミュ障」な人でも、社会人である以上、好き嫌いだけで関わる人を選ぶことはできませんよね?
やむを得ず苦手な人とも一緒に活動しなければならない人のために、今回は精神科のプロが実際のカウンセリング場面や日常的に使用している初心者でも効果性の高いスキルを公開します。
今回の投稿を読んで実践すれば、今まで険悪だった相手が、魔法のように自然とあなたに警戒心を解き、いつの間にか笑顔を向けてくれるようにすらなるかもしれません。
プロが使う魔法のスキル3選
スキル1:「3S」を使いこなせ!
「3S」とは
- see(シー:目を見る)
- smile(スマイル:笑顔)
- skin ship(スキンシップ:触れる)
の頭文字をとったものです。
see:目を見る
seeは基本ですが、とにかく相手の目を必ずみましょう。コミュ障に最も多いのは、相手の目をみて話すことができないことです。
「目は口ほどに物を言う」と言い、目を見ることで自分の心が相手に読まれるのではないかと、根拠なく恐れていることが目を合わせられない原因なのです。
しかし、それは同時に、自分の情報を相手に与えないのと同じくらい、相手から何も情報が得られないのと同じことなのです。
そもそも、目から相手の心情を全て読み取ることなどできません。過度に恐れて目を合わせない方が、よほどこちらの心情を読まれてしまいます。
そればかりか、やましいことがあるとすら思われ、あらぬ誤解を招く結果さえ生むのです。
目が合わせられないのはコミュ障だからではありません。それはただの思い込みです。
ただ習慣化していないだけなのです。
人間はその多くを練習や習慣化で克服できます。練習や習慣にメンタルの強さは関係ないのです。
まずは相手が話している時だけでも目を見て傾聴するようにしてみましょう。
目を見て会話ができるようになると、驚くほど相手のことが理解できるようになります。
新しい気づきや、ちょっとした仕草からも相手の気持ちが理解できるようになるでしょう。
すると、自然と相手の攻略法が見えてくるのです。
smile:笑顔
無表情で強面な人と、いつも笑顔な人、一般的にどちらの方が好印象かと言えば、断然後者の「笑顔な人」でしょう。
笑顔の最大の効果は、相手の警戒心を自然と解くことにあります。
初対面などでは特に強い効果を発揮します。
下記の絵にもあるように、同じ言葉で話しかけているのに、笑顔と真顔では印象が大きく違いますよね。
ちなみにこれ、声のトーンをほとんど同じにしても与える印象が全く異なるのです。
つまり、それほどに、人間というのは目から入ってくる情報が判断材料になりやすいということです。
そのための最も手軽で最強とも言えるのが笑顔です。
笑顔が相手の緊張や警戒心を解くのには脳科学的なメカニズムがあります。
赤ちゃんは生まれてからほとんどの場合、母親によって守られながら生きますよね。
赤ちゃんは自分が一人では何もできない無力な存在であることを本能的に理解しています。
それゆえに、守られた状態で母親が向ける笑顔というのは安心の象徴でもあるのです。
それは大人になった今でも変わることのない本能です。
人間は笑顔を向けてくる相手に対して、無自覚に警戒心を緩める習性があるのです。
コミュニケーションにおいて、これほどまでに単純で効果的な手段を、使わない理由はあるのでしょうか?
skin ship:触れる
「身体の距離は心の距離」ともいうように、実際に直接体に触れるスキンシップは相手との距離を縮める手段の一つです。
とは言え、現代社会では無闇に相手の体に触れることは男女共にセクハラになる危険性があります。
合法的に相手に触れる機会がある職業で有名なのは美容師が有名ですが、手相占いなども良い例に含まれます。
不思議と会話が弾んだ経験は誰もがあるのではないでしょうか?
これは単純に相手が気を使っていること以外にも、身体に触れることを許した状況に対して、脳が自動的に相手を許容しても良いと錯覚しているのです。
ではそう言った合法的に相手に触れる機会がない場合はどうでしょうか。
そこでお勧めするのが知り合いや友人なら握手、家族ならマッサージやハグなどもいいでしょう。
もちろん相手との関係にもよりますし、何より今は新型コロナウイルスの影響でスキンシップそのものがタブーとなっているのが世の常です。
私もウイルス流行前であれば、仕事上患者との握手などを積極的に行っていましたが、現在は自粛しています。
ここでは情報の一端として理解しておくと良いでしょう。
スキル2:「ONの肯定」と「OFFの否定」を使いこなせ!
これは一言で言えば、相手との関わりに大きな温度差をつける手法です。
「ONの肯定」とは相手が大切にしているものに対して肯定的な反応をすることです。
「OFFの否定」とは相手の否定しても差し支えないことで小さな否定をすることを言います。
ONは本気の相手、OFFは緩んだ時の相手
こんな風にイメージしておきましょう。
ここでは仕事を例に解説します。
職場であなたと反りの合わない人がいたとします。
その相手とは仕事上どうしても距離を縮める必要がある。
そんな時、仕事上での相手の考え方や意見に対して、肯定的な意見を述べるのです。
「その考えすごくわかります。実際にそういう考え方って多く使われてますよね。」
ONの肯定で最も重要なのは、敬語と共感に徹することです。
仕事上で相手が話す内容というのは、ある程度責任感の伴う緊張した言葉が多いですよね。
相手が大切にしている価値観や、考え方に対して、それを真っ向から否定することのメリットはほとんどありません。よほど倫理的に外れたことでない限り、あくまで人一人の価値観と割り切りましょう。
特に会話の中で繰り返し登場する単語は、それだけ相手が価値を置いているものなので、聞き逃さないようにしましょう。
自分が大切にしているものを、一緒に肯定し、大切にしてくれる人には自然と味方意識が芽生えるものなのです。
肯定されて気持ち良くない人はいない、この事実を知っておきましょう。
一方の「OFFの否定」とは、主に雑談の中で聞かれる大したことのない情報に対して否定することです。
否定というと、少々攻撃的な印象を持つかもしれません。
さらに噛み砕いた表現をするなら「ツッコミ」です。
「いい歳して〇〇が趣味って、子供か!」
と言ったように、相手にも否定されても不快ではないものというのは必ず存在します。
その多くが仕事以外の雑談の中で見られる、ちょっとした好みの話題です。
猫派か犬派か、きのこの山かたけのこの里か、そう言った取るに足らない「どうでもいい」と思える話題に対して、少々オーバーに否定します。
OFFの否定で重要なポイントはフランクな口調で、遠慮なく否定することにあります。
ONの肯定とは真逆の対応ということになります。
雑談ではフランクに接していた相手が、仕事となった途端別人のように態度を切り替えてきたらどう思いますか?
どっちが本当のこの人なんだろう??
と、相手はあなたにちょっとした混乱を覚えるはずです。
この「どちらかわからないちょっとした混乱」を作るのがポイントなのです。
この露骨なまでの温度差が、相手をあなたに夢中にさせるコツなのです。
「ONの肯定」と「OFFの否定」の最も重要な効果は、相手に「この人はご機嫌取りのために自分に共感しているのではない、本気でそう思っているのかも」と思わせることにあります。
私の場合、仕事中(ONの肯定)はキリッと敬語で相手を立てつつ、休憩中(OFFの否定)などの談笑の場ではフランクに相手の意見の好みを否定します。
「たけのこの里派⁉︎わかってないなぁ〜‼︎」と冗談いっぱいに表現します。
相手からすれば「どっちでもええやん!まぁ面白いからいいけど」程度の話題です。
否定したところでプライドや価値観が傷つくような話題ではありません。
こう言った雑多な話題では大いに冗談ぽく否定し、仕事が再開すれば再び相手を肯定的に対応します。
これは想像以上の効果を発揮し、続けるほどにその効果を増します。
相手には態度の温度差は気づかれたとしても
こちらの本当の狙いは99%気づかれない悪魔的手法なのです。
スキル3:「相手に優しい嘘」を使いこなせ!
自分が気を許し、相談できる相手とはどう言った相手だと思いますか?
例えば失恋した場合、同じく失恋経験のある相手ではないでしょうか?
わざわざ人生で1回も負けなしのリア充には失恋相談などしませんよね。(攻略法を相談するなら別ですが)
そう、気を許して相談できる相手というのは、往々にして同じ痛みを知る人間なのです。
つまり同じ状況を経験済みか、今同じ状況にある人間か、人が相談する相手に求めるのは自分を理解してほしいという共感だからです。
この例にあるように、相手に親近感を持ってもらうことがまずは必要なのです。
その手段として用いるのが「相手に優しい嘘」「相手を傷つけいない嘘」です。
どんな人とでも打ち解けることができる人というのは、実はこのスキルを身につけていることが多いのです。
「嘘」の本質的な意味とは原来、事実と異なることを伝えるという「行為」そのものにあります。
それは相手を傷つけるために使うからこそ悪なのであり、嘘そのものには善の要素もあるのです。
この技術を使いこなす人は、「事実とは往々にして相手を傷つけるもの」「事実は残酷なもの」という実態をよく理解している人たちなのです。
では相手を傷つけない嘘とはどういうものなのでしょうか?
例えば冒頭の例に従い、恋愛は百戦錬磨、負けなしのリア充な相手がいたとしましょう。
その完璧に見える相手が「実は昔、君と全く同じ理由で、好きだった人に振られたことがある」と告白されたらどうでしょうか?
あれ?思ってた人と違う・・・
と思うかもしれません。むしろ自分と同じ理由で振られた経験があるという親近感すら湧くでしょう。
その時、あなたは相手に「隙」を見出したことになるのです。
あなたは「この人になら、少し打ち明けてみてもいいかな」とわずかながら警戒心を解くのではないでしょうか?
そこから本当の相談相手になるかもしれない。
プロが使用するスキルとはまさしくこれです。
プロは相手が心を許して自分に打ち明けてくれるよう、「きっかけ作り」程度の、相手が傷つかない小さな嘘をつくのです。
相手の痛みを本当に理解できるのは、同じ痛みを経験した者だけです。
しかし、だからと言って共感すらできない訳ではありません。
相手は少なくともあなたの力になりたいと思い、あえて「自分も過去に同じ経験がある」という嘘をつくのです。
このスキルの注意点は、相手の親近感を得るために連発しては絶対にいけないということです。
嘘は連発するほどに一貫性がなくなり、確実にバレます。
数ある調味料でも「ひとつまみの塩」感覚で使いましょう。
くれぐれも自分を誇大的に見せる嘘はしないようにしましょう。
相手に心を開いてもらうための、嘘をつくのです。
まとめ
いかがでしたか?今回はコミュ障でも再現性の高い、プロが日常的に使用しているコミュニケーションスキルについて解説しました。
身につけることさえできれば、実用性の高さでは最も効果を肌で感じやすいスキルになります。
かくいう私も昔は虐めを受けたことを機に、他人とまともに目を合わせることすら拒んでいたほどのコミュ障です。
そんな私でも息を吸うのと同じ感覚でできるようになった今回のスキルは、きっと多くの人のお役に立てることでしょう。
今回の投稿が、昔の私同様に、対人関係で悩む読者の方にとって解決の一助になれば嬉しく思います。