もう限界です!母親との関係が悪くて、毎日ストレスで仕方ありません!
親子だからこそ感じるストレスってありますよね。昔から仲が悪いんですか?
ずっとではありません。思春期を機会に、段々母親の言葉を受け入れられなくなり、考え方などで衝突することが多くなりました。
なるほど。実は母親との不仲に悩む人は決して少なくありません。もしかしたら子供の頃の母親との関係が原因かもしれません。
子供の頃ですか?
そうです。現代人の「生きにくさ」の背景には、実は子供の頃の母親との愛着関係が非常に根深く関わっているのです。
これを「愛着障害」といいます。
愛着障害???
愛着障害・・・という言葉はなかなか聞き慣れない人も多いはず。
言葉はイギリスの精神科医ジョン・ボウルヴィによって提唱された「愛着理論」からくる言葉です。
うつ病や境界性パーソナリティ障害などの精神疾患や、ADHDなどの発達障害など、これらの最も根底にある共通した問題として注目されています。
これは病気に関わらず、現代人の多くが抱える「生きにくさ」の正体でもあるのです。
今回の投稿を読めば
- 愛着障害って何?
- 愛着障害を持った人ってどんな人?
- 我が子を愛着障害にしないためには?
- 自分が愛着障害だと感じたら何をするべき?
を知ることができます。
愛着障害ってなに?
愛着とは、母親と子供の、新生児期に築かれる絆のこと。愛着形成のことを言います。
母子の健全な愛着形成が為されなかったことで、将来的に生じる「生きにくさ」の弊害。
これを愛着障害と言います。
主に新生児〜2歳ぐらいまでの間が最も重要な愛着期間とされており、それ以降は定着しにくいと言われています。
かねてより、愛着障害はあらゆる発達障害や精神疾患の源泉とも言われるほどに、問題視されてきました。
元来、子供にとって母親という存在は何者にも変え難い、非常に特別な存在です。
子供にとって母親は一人だけ。その母親に愛されることは、子供にとってこの上ない悲願でもあるのです。
それは全ての子供が生まれながらに持つ本能でもあります。
新生児期にそれが得られないと、子供は生涯にわたって親の愛情に飢え、執着し続けてしまいます。
私個人は、一種の呪いのようにも感じます。
本来子供の健全な発達というのは、母親という安全地帯を拠点に、子供が外部刺激へと冒険することを言います。
「安全」と「冒険」を繰り返して、子供は様々な外界の刺激に触れ、自分の世界を広げていくのです。
愛着障害とは、母親と子供の愛着形成が不十分であるが故に、母親が子供にとっての「安全地帯」になれなかった状態を指すのです。
例えるなら、ジャングルではまず、安全な寝床や食料が調達できる場所、水が確保しやすい川の近く、獰猛な獣が少ない場所を探します。
母親はジャングルで言うところの、この安全地帯の役割を持っています。
ジャングルは「現代社会」そのものです。
そしてその安全地帯を拠点にして、徐々にジャングル内で安全に活動できる範囲を拡大していく。
危険になったら安全地帯に戻ってやり直す。安全と冒険の繰り返しです。
しかし、母親が安全地帯の役割を担えなかったらどうなるでしょうか?
それは、自分はどこに向かっているのかもわからず、常に不安を抱えたまま、ただ闇雲にジャングルを彷徨い続けるのと同じです。
安全地帯がなければ、人は冒険できないのです。
ジャングルという現代社会において、往々にして自分のやりたいことがわからず、「生きにくさ」を感じながら生活している。
そんな人はもしかしたら、愛着障害をもつ可能性があります。
母親が嫌いな理由は、あなたがまだ母親に縛られているから
前述したように、母親は子供にとって唯一無二の存在です。
なぜなら、子供とは、親がどれほど酷い毒親であったとしても、親に愛されたいと思う生き物なのです。
それは何歳になっても同じこと。
子供は健気にも、どんな母親であれ、その愛情欲しさに期待に応えようとします。
つまり、親が嫌いと言いつつも、気持ちの面で切り離すことができずにいるのは、あなた自身が未だ母親の愛情を求めている証拠でもあります。
幼少期に貰いそびれた愛情を取り戻そうとせんばかりに。
どこかで自分を認めて欲しい、見て欲しい、褒めて欲しい、そういった子供のような純粋な愛情を求めています。
でもいざ関わると、母親は自分の望んだ愛情をくれない。
むしろ否定すらする。
本能で感じる愛情への欲と、現実の母親の態度のギャップに、怒りを隠せずにはいられない。
これが、母親といることで感じる怒りの正体です。
愛着障害を持つ人の4つの特徴
人を頼れない、甘え下手
母親との愛着形成が十分な状態人は、不安なとき、困ったとき、いつでも遠慮なく母親の元へ戻っては子供らしく甘えることができます。
しかし、親に気を遣って、思うように甘えることができなかった子は、親に褒めてもらうため、認めてもらうために「良い子」を演じようとします
自分が辛い時にも「親に迷惑をかけるのは悪い子」と自分を追い込み、一人で抱え込むことが日常的になってしまうのです。
それが成人した今もなお、自分が困った時に、第三者に「助けて」と言えない理由です。
子供らしく甘えることができなかった、「大人」を演じなければならなかったアダルトチルドレンの弊害なのです。
不安が強く、何事にも消極的でネガティブ
現代社会をジャングル、母親を安全地帯に例えたように、愛着障害を持った人は常に社会に対して不安を抱えて生きています。
母親という安全地帯がないため、幼少期から外部の刺激に触れることに臆病になり、冒険をしないまま大人になってしまったのです。
その結果、失敗しないように挑戦を避け、何事にも本気で取り組むことができない。
何をするにしても躊躇してしまい、一歩を踏み出せずにチャンスを逃してしまう。
また、人も信じられない。
人と腹を割った深い関係になることを恐れ、裏切られることに常に不安を感じている。
常に他人の顔色をうかがい、本音を隠して相手に合わせては、いつも損をする。
このように人生そのものが、全てにおいて消極的な選択しか取れなくなってしまうのです。
母親という安全地帯を持たないと言うのは、安心感が乏しい状態を指します。
特に、対人においてはその様子が顕著で、人に対して常に不安を抱いています。
些細なことで傷つきやすく、ほんの少し拒絶されただけで、自分のことを無価値な人間であると強く思い込んでしまいます。
だからこそ、いつも自分を支えてくれる理解者にでさえ、防衛的に傷つけるような反応を見せることがあります。
騙されやすい
愛着障害者は詐欺に合う確率も高いと言います。
なぜなら、母親から無条件でもらえたはずの愛情がもらえず、愛情に飢えた愛着障害者は、代わりになるものを探すからです。
「この人なら・・・」無意識に母親と同じ愛情を求めてしまう。
人を信用できないという特徴を持つ反面、一度信用してしまうと盲信してしまう傾向が強いのも特徴です。
カルト宗教やドラッグ、詐欺ビジネスといったのもに対しても、物事そのものの本質は見ようとせず、自分に理解を示している「人」で判断してしまう。
「あの人は良い人だから、騙しているはずがない」と。
最悪なのは、「あの人になら騙されても良い」という依存思考に陥る人のケースです。
母親から貰いそびれた愛情の代わりを、半ば自己暗示のように獲得しようとすらしてしまう。
愛着障害を強く持っている人はこのようなリスクさえあるのです。
境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害は「好き」「嫌い」などの極端な気分変動や、見捨てられ不安を由来とする自傷行為などが特徴の障害です。
極端に人に依存しやすく、かと思えば途端に距離を取ろうとする。
こういった相手に見放される恐怖を常に抱えているが故に、不安定な人間関係を築きやすい特徴があります。
相手に振り向いてもらうための行動とも言えます。
そんな彼ら、彼女らの根底にあるのは、やはり母親との愛着障害です。
幼少期に母親からの愛情をもらえなかった、または突如喪失した体験などが原因にあります。
育児放棄や死別、離婚による別居、再婚でできた義母が実の子にばかり愛情を注ぎ、自分には関心を持ってもらえなかったなど・・・
母親からの愛情が急にもらえなくなる喪失体験例は数多くあります。
それを裏付けるように、境界性パーソナリティ障害の方は統計上、母親との関係が不仲である割合が非常に高い傾向にあります。
危険な例では、やはり母親の代わりとなる存在を求めて、危険な相手に依存してしまうといった、事件になりやすいトラブルメーカーな印象があります。
相手との距離感がわからなくなるのも、一方的に相手に期待して、身限り、裏切られた気分になるいう、相手を強く求めるが故のことです。
私的、父親の正しい立ち回り2選
ここまで愛着障害に関する基礎的な情報を綴ってきました。
ここからは、私自身が考える育児への考え方や、今実践している方法、これから導入していくつもりでいる事などを解説していきます。
私は母子の健康的な愛着関係の構築に、「父親」という立場から、どう関わっていくのが良いかと考えました。
なお、誤解がないように前置きすると
以下に挙げる2つの考え方は、いずれも育児を妻に丸投げすると言う趣旨ではないことをご理解ください。
あくまでも父と母、その役割分担という視点で見ていただけると幸いです。
母親から子供を奪わない
近年、私の周囲でも子供を「パパっ子」にするべく、過干渉になりすぎる同世代のパパたちを見ます。
中には「パパじゃなきゃ泣き止まない」というパパ一強の家庭もあります。
しかし、父親が過度に母子の関係に入り込みすぎると、母子の愛着が築かれる、最も重要なタイミングを奪ってしまう恐れがあります。
男は生物学上、精子の提供以外、存在意義はないとされています。
母子の愛着関係が人生を左右するほどの重要な役割を持つことは、これまで綴ってきた通りです。
しかし、父親と子供の愛着関係が必ずしも重要でないことも証明されています。
父親は不要、とまでは言いませんが。
少なくとも子供にとっては母親との関わりが発達上、最優先事項であると言う事実は無視してはいけないのです。
従って、母親から子供の愛情を奪う勢いで干渉する、男性の偏った育児は避けるべき。
と言うのが、私のひとまずの結論です。
子供ではなく、妻のフォローが夫の役目
かく言う私も、これまで子供を「パパっ子」にするべく奔走していました。
しかし、ある一定の時期から関わりを変えるようにしました。
それは子供ではなく、妻のフォローに回ることです。
妻は育児休暇を取得し、一日中子供と一緒にいます。共有する時間の長さだけを見れば申し分ありません。
しかし、妻も人間です。いくら我が子が可愛いからと、育児がストレスフリーなわけがありません。
話し相手もいませんし、ろくに自分のやりたいこともできない。
空いた時間は少しでも子供と関わろうとしてくれるので、気がつけば1日などあっという間に過ぎてしまうと言います。
妻のストレスは、そのまま子供へのストレスになります。
子供は親のわずかな感情の変化にも敏感に反応し、無意識に自ら甘えることを控えてしまうことすらあります。
これは愛着障害の始まりを意味します。
つまり、妻と子供が健やかな愛着関係を築くためには、養育者である妻のケアこそが子供のためになるのです。
仕事終わりも積極的に家事を行い、1日の辛かった出来事などにも耳を傾ける。
仕事終わりでも風呂掃除や子供の入浴、ミルクに離乳食、寝かしつけなどできることはあります。
仕事は定時に上がり、概ね決まった時刻に帰宅できるようにすることで妻にも「もうすぐ帰ってくる」という安心感を持ってもらう。
平日、仕事から帰宅した父親にできることはわずかなことですが、直接的なことばかりではなく、間接的に子供の役に立つこともできるのです。
休日は妻の育児解放デーを定期的に作っています。一人で外出してもらい、私が1日育児をするのです。
妻のガス抜きをすることで、育児のストレスを極力溜めないようにする。
子供が子供らしく甘えられる環境とは、母親がいつも健やかでいることが重要だからです。
自分も愛着障害⁉︎と感じたら取るべき行動
私自身も愛着障害を正しく克服するために、ある方法を取りました。
その方法が自分だけの価値観を確立することです。
まずは自分と親が違う人間であると言うことを強く意識することが重要です。
自分は何が好きで、何が嫌いなのか?
何者になりたいのか?
何を求め、何を許せないのか?
自分自身と言うものを徹底的に俯瞰視したのです。
多くの人は「こんな生き方をするのは親を失望させることになるのでは・・・?」と常に親にどう思われるかを意識します。
ですが、忘れてはいけないのは、あなたの人生はあなたのものであると言うこと。
そして人生において、選択の自由は常にあなた自身にあると言うこと。
必ずしも親の価値観で生きる必要はないと言うことです。
価値観を作る上で気をつけなければならないこともあります。
偉人や憧れている人の言葉をそのまま使っては、さも自分の価値観であるかのように錯覚してしまうことです。
大切なのは、誰かの作った価値観で生きてはいけないと言うこと。
心折れそうな時、味方だと思っていた空っぽな言葉たちは、あなたに寄り添ってはくれません。
なぜならそれは所詮他人の価値観から生まれた言葉だから。あなたはただ、それを知っていただけ。
最後まであなたの道標であり、あなたの味方であり続けるのは、何よりもあなた自身の価値観だけなのです。
こうして自分だけの価値観が真に持っている人は、心身ともに依存することがなくなります。
自分自身を安全地帯にすることができるからです。
自分だけの価値観を身につけることで、自分と親が明確に違う人間であると言うことを再認識できます。
「親の意見はよくわかった。でも私はそう思わない」そうはっきりと伝えられるようになるでしょう。
価値観を身につけることは、親に対する健全な反抗とも言えるのです。
価値観を築かないまま反抗すれば、あなたはやはり親の元へ戻ってしまうでしょう。
この健全な反抗こそが、正しく親からの卒業を意味するのです。
価値観の作り方については、このブログのホームページに記載しています。
具体的に、しっかりと自分自身の価値観で生きたいと思う方は、一度ご覧いただくことをお勧めします。
精神科セラピストが教える、自分だけの価値観作りで、人生をもっと楽しく自由に生きよう!5つのステップ。
まとめ
いかがでしたか?
今回はなかなか注目されないのに、人生を左右するほど重要な「愛着障害」をテーマに解説しました。
私自身も辛い体験の数々から、現在の私があります。
自分だけの価値観を築き上げたことで、他人の言葉について翻弄されることがなくなりました。
今では自分自身の価値観にこそ、何よりも安心感を持っています。
今回の投稿が、親との関係に苦しむ、そんなアダルトチルドレンな方々にとって
自分らしく生きるための一助になれば、嬉しく思います。