子供が通っていた習い事を辞めたいと言い出して困っています。
辞めてはダメなのですか?
せっかく一年以上も続けていますし、今までの努力やお金が無駄になってしまうのが怖くて・・・
それに、途中で投げ出すことに慣れてしまったら、継続力のない子供になってしまう気がするんです。
なるほど。しかし近年では、すぐに辞めることが、子供の成長に必ずしも悪影響ではないことが知られています。
そうなんですか!?
お金も労力もかけている分、子供が習い事を辞めたいと言い出したときは、なんて答えたらいいか迷いますよね?
正直、嫌なら辞めさせてあげても良いのではないだろうか?
そう思う反面
すぐに辞めさせたら物事をすぐに諦めてしまう子になってしまうのではないか。
そんな不安もあり、親としてどういう結末に導くのが良いのか、言葉に詰まってしまいますよね。
同じく二児の父親で精神科セラピストの私が、当事者目線と専門性の両方から解説していきます。
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子供が辞めたい理由
脳科学の話をします。
子供はそもそも、大人よりも集中力が低く、注意も散漫になりやすく、理屈で考えることが苦手で、とても飽きやすい生き物です。
なぜなら、これらの機能を司っているのが「前頭葉」だからです。
前頭葉というのは、人間の発達段階において、最も遅く発達する脳の部分になります。
個人差はありますが、しっかりと発達し始めるのは小学生以降、社会的に機能できるようになるのは中学生くらいだとも言われています。
それほどに発達の遅い脳機能なので、子供の頃に飽きたらすぐに辞めてしまうというのは、至極自然なことなのです。
大人であれば「将来のためにすぐに投げ出してはいけない」などの理論的な考えに至りますが、子供にはそれがありません。
思うがままに生きるのが、子供の正しい姿なのです。
子供が「辞めたい」を言い出せない本当の理由
イギリスの精神科医ジョン=ボウルヴィが提唱した「愛着理論」によれば、子供は何歳になっても親への承認欲求を抱き続けると言います。
子供は親に喜んでもらえるなら、何でもします。
たとえそれが、本当はやりたくもない習い事だったとしてもです。
子供が我慢して続ける理由はただ一つ。親に失望されたくないからです。
それは、親からの愛を失うことを、子供は何よりも恐れるものだからです。
しかし、やりたくないことを無理に続けさせ、中途半端な努力を強いることは、将来的に子供の自信を失わせるリスクが高まるので要注意です。
「自分はこんなにも長い間を努力したのに、両親が喜ぶ結果を出せなかった」と。
子供は何歳になっても親に認められたいと思う生き物なのです。
他ならぬ親から逃げ道を奪われてしまったら、もう子供は壊れるまで前進するしかなくなってしまいます。
常に選択の自由を子供に与える。
自分で考え、自分で選択できる、その結果に責任を持つ。
この環境こそが、将来、思考停止せずに、のびのび自分の力で生きる力につながるのです。
どうしても辞めたいなら、思い切って辞めてみる
一つのことを極めるのもよい経験になります。
しかし、センスを磨くという意味では、様々な経験を浅く広く持つことをお勧めします。
何故なら、センスとは生まれつき備わっているものではなく、生まれてからどのような経験や情報に触れてきたかによって決まるからです。
芸能人の子供が、同じく芸能人になるのは、生まれてから芸能界の情報に触れる機会が多いからです。
また、全くジャンルの異なる経験や知識が、掛け算のように構築されていくことで、より洗礼されたセンスへ昇華されるのです。
広く浅く、さまざまな体験をすることの方が、子供のセンスを磨くことに関してはプラスとなります。
特に子供の頃は心身ともにエネルギーに溢れており、好奇心の赴くままに様々なことを吸収しやすい時期でもあります。
この時期にいろんな成功体験や失敗経験を積むことで、将来自ら進んで学ぶ意欲の高い人間になるのです。
従って、一つのことを継続するのは去ることながら、別のものに挑戦するということにも同様に大きなメリットがあるということです。
辞めることは逃げることじゃない
多くの親が誤解していることがあります。
それが、辞めることが「諦めること」「逃げること」「無駄になること」というネガティブなイメージを持っていることです。
子供は好奇心の塊です。
初めのうちは好きで始めたことも、実際にやってみて「思っていたのと違った」と思うことは珍しくありません。
そこで「自分からやりたいって言い出したんだから、最後まで続けなさい!」
と言いたくなる気持ちもわかりますが、そこはグッと堪えて、辞めて新しいことを始めるきっかけを与えてみましょう。
やりたくないことを途中で投げ出すことが背徳的、という風習自体は、実は戦前まで遡ります。
昔はやりたくないことでも身を粉にして続けなければ、国民は誰も徴兵に応じませんし、会社に忠誠を尽くす企業戦士も現れなかったでしょう。
日本の古い教育文化の名残りなのです。
人間は情熱無くして継続はできません。
多くのことを吸収できる子供時期。時間を無駄にしないためにも思い切った決断は必要です。
辞めても経験は無駄にならない
せっかくお金もかけたし、習い事に送迎までして時間を使ったのに・・・
親もついつい、そういった損得勘定で考えてしまい、今までの消費を無駄にしないために、習い事の継続を進めてしまうケースがあります。
ですが、子供の教育において、そういった考えは厳禁であることをまずは理解しておきましょう。
英会話にせよ、スイミングにせよ、1、2年も続けると「せっかくここまでやってきたのに」と思うようになり、惰性で続けてしまいがちです。
私は小学校や中学の頃、英語の家庭教師を受けていた時期がありました。
学力が低いことを嘆いた親が始めたのがきっかけです。
ですが、当時は英語の必要性を感じていなかったので、何よりも退屈でした。
結果は想像通り、学校の成績すら伸びない、バイリンガルとは程遠い英語力に終わりました。
この話、一見して無駄に感じるかもしれません。
ですが、私自身が親になった現在、当時の「しくじり談」として我が子への教育に役立てることができます。
当時の私は英語が嫌いという感情からスタートしました。
だからこそ最後まで好きになれなかったことが上達を妨げていた要因であると考えています。
つまり、我が子には「好き」を入り口に、好きなことにチャレンジさせてみようと思います。
英語が必要なら、まずはどうしたら英語が好きになるか、そこから着手するでしょう。
経験値というのは、長い人生で必ずどこかで生きる時がきます。
まるでパズルのように、意外な場面でその経験が生きることもあります。
それは自分でも気づかない間に生かされているかもしれない。
今は役に立たない経験かもしれない。
しかし、人の成長はとは過去の経験の積み重ねによって成り立っていることを忘れないようにしましょう。
過去の無数の経験が複雑に関連し合い、現在の能力となるからです。
やりたくない部活なんて辞めていい。時間の無駄。
習い事の代表格といえば学校の部活動がそれに含まれます。
しかし、所属する学校にやりたい部活がなかったらどうでしょう?
結局やりたくもない部活に惰性で入部し、梲(うだつ)が上がらないまま卒業することになります。
運良く「意外に才能があった」という結果になれば良いですが、基本的に人間は「好き」という感情が入り口でなければ情熱へ発展しませんし、継続しません。
私は個人的に思います。部活動は無理に入る必要はないと。
これは率直に言って時間の無駄です。
何故なら、周囲の友達が入っているから、疎外感を感じないために惰性で何かしらに所属する。
多くの子供がこういった理由で部活動を選んでいるという過去のアンケート結果もあります。
やりたくもないことに時間を注ぐくらいなら、一層のこと部活動など入部せずに、外部で好きな習い事をすることを選択肢に入れることをお勧めします。
理由は、選択の幅と、コミュニティーの幅、両方広がるからです。
外部であれば自分の好きなものを選択できます。
学校にダンス部がなければ、外部でダンスの習い事をすればいいのです。
また、部活というのは所詮同じ学校内でのコミュニティーに限定されます。
しかし外部の習い事では、学校以外のコミュニティーを作ることができるので、学校という狭い人間関係に固執することを防ぐこともできます。
外部のコミュニティーが広がれば、早期に多種多様な人間の価値観に触れ、人としての成長も望めます。
従って、進路に響くからなどという理由で、部活動に固執することはお勧めしません。
やりたいことをやる。これに勝る継続力はありません。
子供の「辞めたい」に親がとるべき対応
心の逃げ場を作ってあげる
辞めたいという理由を決して否定してはいけません。
親から見て「そんなこと」と思うことも、子供にとっては深刻な問題である可能性が高いからです。
例えそれが、到底容認できない理由であったとしても、まずは受容する姿勢を忘れてはいけません。
ただ闇雲に「やめてはダメ!」と背水の陣で習い事を続けさせると、子供は気持ちの逃げ場を失い、より辛い記憶しか残らなくなってしまいます。
私の両親もまた、継続力を重視しており、子供の頃の習い事は簡単にやめさせてはもらえませんでした。
どうせ断られる。親の台詞が手に取るように想像できたので、そう思っていても打ち明けることができませんでした。
無論、継続したことで一種の自信に繋がった要素があることは事実です。
しかし、やる気がないまま無駄に継続した分、辛い思いをしたことも多々ありました。
ので、一概に継続することだけが正しいとは言えません。
ここで最も重要なのは、子供にしっかりと気持ちの逃げ道を作ってあげることです。
「失敗してもいい」「嫌になったら逃げることだって、悪いことじゃないんだよ」
「逃げてもいい」という親からの言葉があれば、子供は進んで「もう少しだけ頑張ってみようかな」と安心して挑戦することができるのです。
期間を決める
一つのことを継続するのにもメリットはあります。
わずか数ヶ月程度続けたくらいでは、それが自分に本当に合っているかなど、判断できないからです。
どんなものにも辛く苦しい時期というものが必ずあります。
それを乗り越えた時、初めて楽しさに変わる経験というものもあるのです。
従って、なんでも闇雲に辞めることを許容すれば良いということでもありません。
実施期間があまりにも短い時は、期限を設けるという促し方をお勧めします。
これは精神科でも患者の方によく使用される促し方のテクニックになります。
「今すぐ辞める?それとももう少しだけ頑張ってみる?」
という質問です。
辞めたいのならダラダラ続けても仕方ありません。いずれ辞めるなら、今すぐ辞めることを提案しましょう。
同時に、もう少しだけ継続してみるかどうかも問います。
「辞めたい」人の内心では、本当は辞めたらもったいないなどの損得勘定や、辞めることを止めて欲しいなどの心理が働いているものです。
すると大体の人が「もう少しだけやってみます」と選択します。
ここで重要なのは、具体的な期間を本人に決めさせることです。
1ヶ月でも半年でもいい。続ける以上は期限を設け、その期限内だけは全力で頑張るよう約束する。
約束の期限を迎え、それでも気持ちが変わらなければ、スッキリ辞めればいいのです。
これは、期間という目標が定まることで、ただ諦めて辞めたという挫折感を軽減し、やれるだけのことはやった上で辞めたという達成感へ置き換える効果があります。
人がなぜ後悔するのか?
それは最善を尽くすことなく辞めてしまうからです。
やれることを全てやり尽くした後であれば、人は何の後悔もなく身を退くことができるのです。
この方法では、自分で定めた期間以降も能動的に継続する人を多く見てきました。
「いつでも辞めれる」という安心感が、継続力の一助となっているからです。
他を諦め、何か一つは続けさせる
辞めさせることに後ろ向きな親の意見としては、やはり「逃げ癖」がつくことを懸念している人が多い印象を受けます。
確かに、世の中には問題解決に際して、とにかく問題を避けようとする「回避型」呼ばれる人がいます。
彼らの多くは、幼少期から継続することで得られた成功体験の少なさが行動原因である場合がほとんどです。
問題に直面したらどうすればいい?4つのパターンから自分に合った解決方法を見つける
↑こちらの記事も合わせてご参照ください。
「回避型」以外にも「突破型」など4種類の問題解決型が人にはあります。
ポイントは、「逃げ癖は時に必要」ということ。
逆に「逃げることは悪いこと」という逃げ癖のない人は、自分が潰れるまでその問題と向き合い続けるという悪循環に陥ります。
当然、大人になれば逃げることが難しい場面が多くなります。
逆に、若いうちに「上手な逃げ方」を経験しておくと、自己肯定感を下げることなく、「戦術的撤退」として堂々と問題を回避できる人間になれます。
そこでお勧めするのが、何か一つは継続させることです。
それは習い事でなくても良いのです。
「寝る前に必ず本を読む」「朝起きたら喧嘩中でも必ず挨拶を欠かさない」など。
自らが意識して取り組めるルーティーンを一緒に見つけてあげましょう。
このように日常生活の中で、親子間の約束事を継続するのでも良いのです。
可能であれば、これらにも期限を設けるようにしましょう。
終わりの見えない作業というのは、やがて必ず挫折してしまいます。
まずは1週間、1ヶ月、半年、1年と徐々に終わりの期限を伸ばしていき、中長期的に目標が達成できるようにすると効果的です。
継続に必要なのは、ちょっと頑張れば達成できそうな課題を続けることなのであり、中身はさほど問題ではないのです。
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まとめ
いかがでしたか?
我々大人も、子供の頃には途中で辞めたいと思う習い事があったのではいでしょうか?
その時の気持ちを少しでも思い出すことで、我が子の気持ちに寄り添えるといいですね。