僕ってなんでもすぐに忘れてしまって・・・この忘れっぽさのせいで、仕事でもよくミスして怒らせるんですよね。どうやったら覚えられるんでしょうか・・・??
私も正しくその一人ですが、忘れっぽい人の特徴として、覚え方が自分に合っていないケースが多いんです。
自分に合った覚え方ですか???
そうです。人の脳にはそれぞれに特徴があって、覚えやすい方法が異なります。自分の脳の特徴を理解して、自分にあった方法を取り入れれば覚えやすくなりますよ。
言われても言われても、どうしても覚えられない「すぐ忘れる人」っていますよね?
でも実はそういった人は、決して記憶力が低いわけではないんです。
実は意外な理由で忘れっぽくなっているだけなのです。
この記事を読めば、忘れっぽさの医学的なメカニズムや、今後の対策までを知ることができます。
すぐ忘れる・・・その正体は「注意力」
人の脳には「注意機能」と呼ばれる機能が存在します。一般的な言葉で表現すれば「集中力」という言葉が最も近いでしょう。
普段、人間は五感や触れた感覚(触覚)、痛みの感覚(痛覚)、温度を感じる(温冷覚)など、全身のあらゆる感覚から絶え間なく常時、脳に情報が送られ続けています。
しかし、その量があまりにも膨大すぎて、脳は全ての情報を処理することができません。
従って、脳は必要な情報のみを取り入れ、優先順位の低い情報は流してしまう傾向があります。
この取捨選択の機能こそが脳の持つ「注意力」と呼ばれるものなのです。
すぐに忘れてしまう人は、一般的にこの注意力(集中力)が低いことが原因と言われています。
私自身はまさしくこのタイプでした。話の途中でも些細な物音などでなかなか集中力が続きませんでした。
皆さんも、相手の言葉に耳を傾けている最中、少し気になることがあると、すぐに注意が逸れてしまい、相手の会話を聞き逃してしまうという経験があるのではないでしょうか?
例えば、相手との会話中に、トイレに行きたくなったらどうでしょうか?
注意はすぐさま尿意に移り、トイレを我慢している最中は相手の話があまり入ってこないはずです。
よって、せっかく我慢して最後まで相手の話に付き合ったにも関わらず、内容が記憶に残らないので、後々「だから、あの時説明したじゃん!」と責められてしまうのです。
このように、人の脳というのは個人差こそありますが、容易に集中力が途切れやすいものなのです。
これに関し性別で比較した場合、特に男性が弱いとされています。男性は同時に複数の作業をこなすことができません。
それは脳にある「脳梁(のうりょう)」という左脳と右脳を繋ぐ情報の通り道が女性よりも狭く、情報の同時処理が非常に難しいからです。
なので、男性は手作業をしながら突然話しかけられると、手元の作業はピタリと止まってしまいます。
それは「聞く」か「やるか」のどちらかしか脳が処理できないからです。
その点女性は「脳梁(のうりょう)」の幅が広いため、聴きながら、見ながら、話しながら、やりながら、と言った「ながら動作」が得意なのです。
従って、男性は特に女性よりも注意力が途切れやすく、相手の会話を聞き逃してしまったり、内容が頭に止まりにくいということです。
これが、いわゆる「すぐ忘れる人」の医学的な脳のメカニズムです。
つまり、忘れっぽい人というのは、相手の話に注意を向けきれていない状態である可能性が高いということです。
目から覚える人、耳から覚える人、あなたはどっち?
人の脳にはものを記憶する際に、ある特徴が別れます。
それが目からの情報が記憶に残りやすい人か、耳からの情報が記憶に残りやすい人かです。
例えば、カメラアイなどで有名な、瞬間記憶能力の持ち主などがいますが、まさしく典型例といっていいでしょう。
彼らは目で見たものを瞬時に記憶として脳に書き込むことができ、絵で再現できます。
しかし驚くことに、そんな彼らも耳から入ってくる情報に関しては驚くほど物覚えが悪いと言われています。
このように、人の脳には目で見たものを記憶しやすい人と、耳で聞いたものを記憶しやすい人という2つの特徴があるのです。
前述したように、目で見たものを記憶しやすい人に対して、「聞いて覚えろ」と言ったところで、記憶力の半分以下の力しか発揮できません。
人には自分に合った記憶の仕方があるということ。
まずは自分がどっちのタイプなのかを知るところから始めましょう。
人の記憶は、2日経つと約70%は忘れている
「エビングハウスの忘却曲線」というものをご存知でしょうか?
ドイツの有名な心理学者ヘルマン=エビングハウス博士が提唱した、人の記憶がどれくらい保たれるのかを表にしたものです。
図で表したように、人間の脳は2日間で覚えたことの7割も忘却してしまうのです。
それだけ、脳というものは負荷に弱く、自動的に情報の取捨選択を行なっており、常に一定の容量を保っていると言えるのです。
つまり、「人間はそもそも忘れる生き物」ということを前提とした考えを持っておくべきなのです。
それはあなた自身だけでなく、他者に対しても同様です。
自分の話を覚えておいて欲しいのであれば、相応の伝える工夫が必要であるということです。
また、記憶するに際しても2日目以降覚えておくための工夫が必要になってくるということです。
すぐ忘れる人は記憶の記銘、保持、再生のどれかが原因
記憶・・・と一言で言っても、大きく3つに別れることをご存知でしょうか?
- 1段階:「記銘(きめい)」=得た情報を脳に書き込む作業
- 2段階:「保持(ほじ)」=書き込まれた情報を脳内で長時間保つこと
- 3段階:「再生(さいせい)」=脳内で保っていた情報を引き出す作業
記憶とはこの三つの段階を経て成り立っているのです。
ですが、この3段階の内、どの段階が得意で苦手なのか、人によって異なるのが大きな特徴となるのです。
一概にすぐ忘れる、物覚えが悪いと決めつけるのではなく、どの段階が苦手なのかによって対策も異なってきます。
「記銘(きめい)」が苦手な人の場合
1段階目の「記銘」が苦手な人は、相手の話をそもそも脳内に書き込む作業ができていないため、当然ですが後々思い出せる情報自体が脳内に存在しないということになります。
なかなかインプットができないため、覚えられるまで何度も質問を繰り返す必要があります。
とは言え、一旦覚えてしまえば、記憶が脳に定着しやすいケースもあるため、覚えるまでが踏ん張りどころとなります。
このタイプで躓き易い場合は、前述したように、自分が目で見る方が覚え易いのか、耳で聞く方が覚え易いのかをあらかじめ知っておくようにしましょう。
自分に合った方法であればスムーズに記憶することができるようになります。
「保持(ほじ)」が苦手な人の場合
2段階目の「保持」が苦手な人は、せっかく書き込んだ情報であっても、脳内でその情報を保つことができないためすぐに忘れてしまいます。このタイプは何度も聞き返さなければ覚えられないタイプですが、何か関連づけて覚えることで覚えやすくなるタイプです。
例えば、テレビCMなどで企業のフリーダイヤルを表示する場合がありますが、一般的に10桁近い数字を数秒間で覚えるのは難しいものです。
そこで、企業側も覚えてもらいやすいよう、数字に語呂合わせをして覚えてもらいやすいようにしていますよね。
歴史の年表なども良い例です。昔学校の授業で「1192(良い国)作ろう鎌倉幕府」って昔覚えましたよね。
このように記憶する際に関連づけられるものがあれば覚えやすいタイプです。
「再生(さいせい)」が苦手な人の場合
このタイプは書き込まれた記憶を保つこともできますが、それを適切なタイミングで引き出すのが苦手なタイプです。
何かヒントがあれば「あ、そうそう」と思い出せますが、自力では思い出すことが難しいのです。
このタイプは自分なりに何か思い出すきっかけを作る工夫が必要になります。
例えばタイマーをつけておく、目印をつけておく、メモを取ると言った、物理的な工夫です。
私的、「忘れっぽい」対策3選
対策を立てる時、最もやってはならないのは自分に合わない方法を取ることです。
よく上司や友人から「こういうふうにしたら?」と助言をもらい「せっかく教えてもらったし続けてみよう」と打算で続けてしまうことです。
しかし、自分の脳の特性に合わない方法を行ったところで、うまくいくはずがありません。
以下に紹介する方法はあくまでも私自身が実践した中で効果のあったものを載せています。
試してみて、合わないと感じたらすぐに変えることをお勧めします。
理解するまで質問する
なぜ、質問することが物覚えの良さに繋がるのか。
そもそも指示されたことや、依頼されたことをすぐに忘れてしまうのは、その内容そのものの重要性や必要性をしっかり理解していないからです。
なぜなら、人は必要性を感じられないことは、脳が勝手に優先順位を下げてしまうからです。
例えば、家族から「帰りに卵を買ってきて欲しい」という依頼を受けたとしましょう。
あなたからすれば「卵など、万が一買い忘れてもまた翌日にでも買いに行けばいい」程度に考えるかもしれません。
無くてどうしても困るものではないからです。
しかし「明日子供の誕生日ケーキを作るから卵を買ってきて欲しい」と頼まれたらどうでしょうか??
あなたの中で、少なくとも前者の質問より重要度や優先順位が上がるのではないでしょうか?
このように、人は理由を正しく理解すると、その重要性や必要性を感じることができ、記憶の定着も上がることが知られています。
「どうして卵が必要なの?」と一言質問を添えるだけで、「子供に喜んでもらうために絶対に必要だ!」という感情的な理由を知ることができるでしょう。
つまりは、感情と記憶をセットにすると覚えやすいということです。
嫌な記憶ほどよく覚えているのはこれが原因です。
不快な感情と出来事の記憶がセットになっているからこそ、強く定着しているのです。
従って、相手からの依頼ごとや、どうしても覚えておかなければならないことなどは、それがどうして必要なのか、最大限理解するための努力をしましょう。
そのためには相手に理解するまで質問をするという作業が必要不可欠と言えるのです。
タイマー+メモ
よくある対策に「メモを取る」というものがありますが、そもそもメモしたことを忘れる、またはメモを見ることを忘れてしまうという事態が発生します。
しかしメモを取る作業自体は記憶に定着させる上で合理的な手段であるため、それを踏まえた上で、私はタイマーとメモの併用をお勧めします。
指示されたこと、忘れないようにすることなどをとりあえずメモに書き殴ります。
そして、私は30分ごとにタイマーをつけ、鳴ったらメモを見るようにしました。
これを1日何回も繰り返します。
そして慣れてくると、次第にメモを見る癖が自然とついていました。
メモを見る癖さえつけば、メモを取ることに対する信頼感も増します。
メモさえしておけば自分は絶対に後で気づける・・・そう思えるようになるからです。
この作業はメモという手段を最大限生かすために、メモを見ることを徹底して定着させるための手段と言えます。
私の場合、腕時計にタイマー機能があり、時間になると振動でお知らせしてくれるので、そう言った小物を取り入れてみるのもお勧めです。
オリジナルのタスク表を作ってみる
オリジナルのタスク表というのは、自分だけのオリジナルメモという意味です。
私は自分が作ったこの票を「タスク表」と呼んでいます。
- Job:仕事内容
- Input:受けた情報
- Action:自分がとった行動
- Output:発信した情報
- Deadline:期限
- Clear:完了サイン
全て英語なのは、単純に格好良くて使う時のワクワク感が欲しかっただけです(笑)
このように、自分だけのオリジナルメモ帳を作ることで、現在自分が行っている進行中の仕事が可視化され、誰からの指示で、どのような仕事を、いつまでに、何をしたかがはっきりとわかるようになりました。
具体的な期限まで可視化することで優先順位もすぐにわかるため、仕事に余裕を持って取り組むことができるようになりました。
まとめ
いかがでしたか?
今回は物覚えが悪い、覚えてもすぐに忘れてしまう、そんな記憶に関する悩みを持つ方に向けて、記憶のメカニズムや私自身の成功体験、エビデンスに基づいた解決方法などを解説してきました。
私自身も記憶力は驚くほど自信がなく、自分の興味関心のないことは綺麗さっぱり忘れてしまう(そもそも覚えていない)ということが日常茶飯事です。
若い頃は、上司に怒られたり、重要なことなのに期限が過ぎてしまっていたり、生活する上でも苦労することが大変多かったのを覚えています。
紹介した方法で、今はある程度自分の記憶力をコントロールすることができています。
今回の投稿が、私と同じように悩む読者の方々にとって、解決の一助になれば嬉しく思います。